社会的背景
明治政府により施行されてきた旧民法下での相続は、戸主として全財産を相続する者が親や子、きょうだいも扶養するいわゆる「家督相続制度」で、先祖からのお墓や祭祀も管理、営むことが通例でした。
戦後の日本国憲法下では「家督相続」は廃止され、遺産を平等にわける「法定相続」へと移り代わり、「相続」だけでなく、暮らし方にも大きな変化をもたらし、経済成長も相まって核家族化が進むことになりました。
現民法下では、遺産分割は平等です。一方、介護は義務であり、寄与した者が認められるものは些少です。介護に向き合っている家族と、遠方で向き合えない家族も原則同じ相続分という制度です。
社会全体で高齢者・要介護者の暮らしを支える介護保険制度が運用されていますが、身近な家族、身近に寄り添う人の存在は欠かせないことは言うまでもありません。
親の介護以外にも様々な要因はありますが、平等運用ゆえの権利意識の向上と、感情が一気に表面化することで相続争いが生じていると言えるのではないでしょうか。これらを補正する意味においても改めて「遺言」は重要になっています
